糖尿病療養指導士の資格を有する、糖尿病治療のエキスパート

糖尿病専門外来とは

当院は糖尿病専門医の他、看護師、管理栄養士も糖尿病療養指導士の資格を有する、糖尿病治療のエキスパートです。
まず、初めて来院された方には、採血後、糖尿病療養指導士から、詳しく問診をさせて頂きます。その間に、血糖、尿糖、HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)の結果が出ます。その後、糖尿病専門医の診察となり、治療方針を決定します。同時に、管理栄養士との連携にて、患者様一人一人に適した食事指導を開始します。
患者様によってはインスリンが必要な場合もありますが、当院では経験豊富な、看護師による丁寧なインスリン指導も行っております。

 

「数年前から糖尿の疑いがあるといわれているけれど特に詳しい検査はしていない」

「糖尿病の薬は低血糖が心配で中々受け入れられない」

「新しく発売された、薬を試してみたい」

「糖尿病と診断されたけれどなるべく薬は飲みたくない」

「インスリンを勧められたけれど、抵抗がある」

「インスリンを処方されているけれど、できれば、飲み薬に変えたい」

「糖尿病になると足壊疽になるのか心配」 等

 

医師に普段聞きたいけど、なかなか聞けないこと等、お気軽にお尋ね下さい。
患者様一人一人の素朴な悩みを解決することが、私達糖尿病専門スタッフの喜びでもあります。

当院での治療方針について

糖尿病の殆どを占める、2型の方は、長年にわたる食生活が原因となっていることが、主ですから、まず食事指導、運動療法等が基本となります。当院では、管理栄養士(糖尿病療養指導士)が主に、その指導にあたっています。

食事療法、運動療法を十分に行っても、飲み薬やインスリンが必要になる方も、多くいらっしゃいます。飲み薬には、インスリン分泌をすい臓に働きかけて、促す薬、食後の高血糖に対して、血糖の吸収を遅らせる薬、インスリンの効果を高める薬、また2009年に発売となった、血糖値が高い時にのみ、効果を発揮する薬(下の「糖尿病の新しい治療薬」を参照下さい)などがあります。

治療に際し、当院では、東京女子医大糖尿病センターで数十年にわたり、すべての糖尿病患者様におこなってきた、食事負荷テストを必ず行っています。
食事負荷テストとは、糖尿病の方一人一人のすい臓から出るインスリン分泌を測定する大切な検査で、糖尿病患者様にとって、治療方針を決定する上で、欠かせない検査です。

糖尿病の新しい治療薬~低血糖をおこさない薬~

2009年12月に、11年振りに糖尿病の新しい治療薬が発売されました。その薬は、今までの薬とは全く異なった作用を持つことで注目されています。そこで、今回はそのご紹介をしたいと思います。
糖尿病患者さんの大多数を占める2型糖尿病は、膵臓のベータ細胞から出るインスリンが不足するために、血糖値が上昇してしまうという、病態が背景にあります。また特に日本人は、欧米人と比較し、インスリン分泌量が少ないことも、特徴です。
そうした背景のため、糖尿病の治療には、膵臓からインスリン分泌を促す薬が使用されることが多く、さらには、その薬でインスリンの分泌が十分で無い場合には、インスリン注射が使用されます。しかし、それらの薬の使用には、低血糖を起こす可能性があります。

近年、糖尿病の治療が進歩する中で、血糖コントロールが良くなれば良くなるほど、低血糖が生じやすくなるのも事実です。その自覚症状は、異常な空腹感、手の震え、冷や汗、意識の低下などです。そのため、治療中の糖尿病患者さんには、低血糖に備え、直ぐにブドウ糖を摂取できるよう、飴などの携帯をお願いしています。しかし、近年研究が進む中で、この低血糖を起こさないことが、大変重要な課題であることがわかってきました。低血糖は起こさず、しかし血糖値はより下げるという二つの目標は、血糖コントロールを行う上で、難しいことでもあります。

しかし、インスリン分泌を促す薬や、インスリン注射等は、食事の量に応じてインスリンの効果を発揮するのではなく、食事の量に関係なく、一定量のインスリンが体に作用します。そのため、食事時間が遅れたり、極端に食事の量が少なかったり、よけいに運動したり等が原因となり、低血糖を引き起こすのです。

2009年12月から発売となったDPP-IV阻害薬という内服薬は、単独の内服では、その困難を、解消してくれる画期的な薬です。通常、人には、食事をして血糖値が上昇すると、消化管ホルモンであるインクレチンとういうホルモンが分泌され、膵臓のベータ細胞から、インスリン分泌を促すというメカニズムがあります。DPPIV阻害薬は、そのインクレチンの働きを強化する、今までないタイプの内服薬です。つまり、この薬は、食事をして、血糖が上昇したときのみ、インスリン分泌を促すため、血糖値が低いときには、インスリン分泌を促すことはありません。すなわち、この薬を単独で内服する場合には、低血糖のリスクが非常に低いといえます。また、2010年には、このインクレチンを強める働きではなく、インクレチンそのものである、注射薬(GLP-1アナログ)が発売され、注目を浴びています。現在は、ノボ社からはビクトーザ、リリー社からはバイエッタという商品名で発売されています。当院でも、すでにこのGLP-1の恩恵を受けている患者様が多くいらっしゃいます。ある患者様は、1日4回のインスリンが、1日1回の注射になり、低血糖の心配も無くなり、好きな時に運動もでき、大変喜んでいらっしゃいます。血糖コントロールを行う際に、常につきまとう、低血糖の問題を解消する薬は、患者さんにとっても、主治医にとっても安心して使用できる薬です。ただし、このDPP-4が阻害薬や、GLP-1アナログが、すべての患者様に有効ではありません。また、他の糖尿病治療薬との併用では、低血糖が生じることもあります。ただ、この薬が自分とって、有効か否か、糖尿病の方であれば、是非知りたいと思うはずです。一度主治医にお尋ねすることを、お勧めします。

【糖尿病療養指導士】
糖尿病療養指導士とは、糖尿病とその療養指導全般に関する正しい知識を有し、糖尿病治療において、より専門性の高い療養を、医師の指示の下で、患者様に行うことのできる医療従事者のことです。糖尿病専門医の下で、2年以上訓練を受けた、看護師、管理栄養士、薬剤師等が試験に合格して、得られる資格です。